どうも、吉田光です。
今回はタイトル通りの記事です。本日ようやく、武田先生の新作「これって本当に「繊細さん」?と思ったら読む本」を読了しました。
率直に申し上げて素晴らしい内容だと思います。
最近交流会の参加者に必ず薦めているぐらいには素晴らかったです。
というわけ今回はこの本の簡単な解説と、読んでみて私が思ったこと、思い出したことについて綴ります。
武田先生と名越先生の対談形式
この本はHSP専門カウンセラー武田友紀先生と、精神科医の名越康文先生の対談を本にしています。
武田先生と言えば名著「繊細さんの本」を書き上げた、日本で数少ないHSP専門カウンセラーです。そして名越康文先生といえば、メディアでもご活躍されている精神科医で、本も出したり音楽活動もされています。
ライブドアニュースのYouTubeチャンネルでのさんぽシリーズでもご出演されてますね。これめっちゃ面白いです。因みに名越先生もYouTubeチャンネルをやられています。まさか「ドキドキ文芸部」を実況されてるとは思わなかった。
このお二人の対談の大きなテーマはトラウマです。
副題も「HSPとトラウマのちがいを精神科医と語る」となってますからね。めっちゃトラウマについてお話されています。
トラウマを抱えている交流会参加者
実は、私は「トラウマとHSP」というキーワードにはかなりギクリとさせられました。
HSP交流会の活動を5年以上続けてきましたが、実は中々キツいトラウマを抱えているであろう参加者がいらっしゃることは、何も珍しいことではありません。
そういう方がエレインが提唱するようなHSPの基本的な気質や、DOESみたいなこととは少々異なる出来事や気質についてのお話をされることも、ままあることです。
一応言っておくと、私の交流会で「HSPとは関係ない話をする」ことはNGなことではありません。なるべくHSPの気質に近しいことを話してほしいとはお願いしていますが、そんなに厳密にはしていませんし、共通の趣味が見つかってそれで盛り上がるなんてこともよくあることです。
ここら辺をガッチリしすぎるとイベントが堅くなってしまうので、あんまり締めないようにしている、つもりです。どんな話でも基本的には「うんうん」と聞いています。
ただ、交流会で「それをHSPと言っちゃう…?」というようなお話があまりにも多かった時期がかなり前にありました(今は少なくなりましたけど)。その時は「HSPってなんだ…?」というモヤモヤが溜まりに溜まり、自分の交流会の在り方を一度見直したなんてこともありました。
交流会でお話を聞くとき、たまに「こりゃあ交流会でどうこうなる話じゃなさそうだなぁ…」と、ある種の無力感にさいなまれることがあります。このイベントが好転する一助にはなってると願うしかないんですけどもね。
上述のような無力感を感じる時というのは、その方のトラウマそのものについてのお話ではなく、普通に「○○の時には△△になってしまうんですよね~」というお話をされたときの、こう緊張具合みたいな…まぁ雑な言い方になりますが雰囲気で、「もしや過去に何かあったのかな」と感じるみたいな、そういうイメージですね。勿論そう感じても当人に「何かあったのか」と尋ねることは基本ありません。
そのトラウマと向き合うのか否か
要は何が言いたいかっていうとですね、長く交流会をやってきて、参加者のお話を聞くときに「それってHSPが故の繊細な気質から発するものではなくて、自身のトラウマから起因するものではないか?」と思うことは珍しくないってことなんですよ。
前述したとおり、私の交流会ではNGなことではありません。よほどズレてなければ私の交流会では基本的にはどんな話でも構いませんし、ズレた話をされる方っていうのもそんなに多いわけじゃありません。
ただ、自身のトラウマをHSPの気質とごっちゃにしてしまい、受けた方が良い処置を受けていない状態が続くのもどうなんだろうか、という話になってきます。実はこのごっちゃ問題に関して、以前から警鐘を鳴らしている方がいらっしゃるぐらいには根深いです。
あ、誤解のないように。
別にすべてのトラウマを回復しなければならないってわけじゃないんです。これは本書でも否定されています。
名越 『鬼滅の刃』の時代設定は大正時代の日本ですから、フロイトもアドラーもいないし、トラウマなんて言葉も出てこない。だから、登場人物たちは、みんなトラウマを解消するのではなく、抱えながら踏み越えるんですよね。
※「これって本当に「繊細さん」?と思ったら読む本」(日東書院本社)P.100から抜粋武田 トラウマ療法を学ぶうちに「トラウマのない人なんて、いないんだな」と思うようになりました。
※同書P.199から抜粋
「これはHSPだから治るものでもない。だから私はずっとこうなのだ!」という感じで、自身の運命から逃れられないみたいな…。ある意味HSPという枠で自分を閉じ込めている方も中にはいらっしゃいます。
一例として、「HSPは自己肯定感が上がらない」という、極端な物言いをする方もたまに見受けられます。交流会では基本的に人の話を否定しない私でも、流石にそこは否定しました。そんなことはないと。
自身のトラウマとどう向き合うかは完全に当事者の責任にゆだねられるべきです。私からはとやかく言うつもりはありません。
ただ、もしご自身のトラウマと向き合いたいと思ってらっしゃる方にとっては、この本はかなりの手助けになるんじゃなかろうかと思っとります。是非ともお手に取ってほしいですね。
武田先生のトラウマ
本書では武田先生自身のトラウマについて、かなり深く触れられています。「え、マジ?いいの?」ってぐらいに。
名越「武田先生は、ご自身の環境の変化によって、つらい時期を抜けてきたとおっしゃっていましたね。トラウマに真正面から取り組むだけではなく、トラウマを抱えたまま生きていく道を歩んでいる風に感じます」
武田「本当にトラウマとともに生きてきましたね。」
※「これって本当に「繊細さん」?と思ったら読む本」(日東書院本社)P.199から抜粋
武田先生は今までも数々のメディア出演をされており、その中で自身の経験について触れたこともあります。ちょっと前は「世界一受けたい授業」にもご出演されるほどに頑張ってましたね。今は落ち着いてまして、ラジオにたまーにご出演される感じです。
その際に「自身もHSPで、働いていたが働けなくなってしまった」というご自身の体験談を話されることはあるのですが、その詳細についてガッツリお話することはあまりなかったんじゃないかと思います。
4年前に私とのトークイベントでも、ご自身の会社員時代について話したこともありました(トークイベントはこちらからご覧いただけます)けども、本書に綴られているほどにガッツリと自身のトラウマについて触れてはなかったなというのが私の感想です。
※上記のトークイベントは「トラウマ」が主軸のテーマではなく「自分らしく生きるためには」というものでした
正直読者の私が、読んでて「おぉぅ…!」とクるぐらいには深く綴られています。しかも、会社員時代以外にもご自身の家族についても触れられています。これもクる。どっちかっていうとこっちがキたかもしれん(笑)
そういう意味では読むのがしんどい可能性があります。正直私も読んでてしんどかった箇所がありました(全体的には面白かったんですけどもね)。こう、自身のトラウマとリンクして掘り起こされるみたいなことがありました。なので読む際には一応ご注意を。
そのうえで本書では、
- 武田さんがどのようなトラウマを抱えたのか
- 休職に至るまでの経緯と休職後の治療はどうだったのか
- カウンセリングを受けてどのようにトラウマと向き合ったのか
- 現在トラウマ療法について勉強して、トラウマをどのように捉えているのか
というようなことが書かれています。
これ武田先生の体験談がベースなので結構生々しいというか、説得力がアホ強いんですよ。
前述した「トラウマと向き合いたい人向け」ってのはここら辺からきています。結構参考になると思いますよ。
武田先生と名越先生のカウンセリング談義
もう一つの本書の魅力が、武田先生と名越先生による専門家同士の、それはそれはディープなカウンセリング談義です。
武田先生が学ばれている「トラウマ療法」についてもかみ砕きながらも詳しく触れられています。武田先生、説明が本当に上手なんですよねぇ。書き方も上手なので本は売れてるんだと思います。
名越先生も武田先生の話を受けつつ、ご自身の領域を引き合いにだしつつ補足を入れたり解説を入れたりして、時には武田先生の疑問に答えたりしたりと、なんだろう手慣れすぎて凄い。いや、そりゃあ手慣れてるんですけどもね。ほんまもんのプロやわ。プロなんだけども。
なので、カウンセリングを現在お勉強されている方にもかなり参考になるんじゃないかなと思います。
特にこの部分で私が刺さった部分がここ。
名越 大学で講義するときなど、自分に対する自戒の念も込めて、「心理学ってそんな高邁な学問ではないよ」と教えています。(中略)心理学そのものを直接高めようとするより、その裾野を広げてまず礎を創ることの方が大切だと、個人的には思っています。」
※「これって本当に「繊細さん」?と思ったら読む本」(日東書院本社)P.190から抜粋
ここら辺のお話は非常に興味深かったですね。私自身も俳優として活動していく中でも刺さった部分でもあります。
因みにこの本、巻末に「どのようなカウンセラーを頼ればいいのか」という方についてのアドバイスみたいな付録があります(笑)
これ付録みたいになってるけど、それに収まらないと思うんだけど(笑)
かなりオススメです
というわけで、是非とも読んでいただきたい本になります。因みに私はkindleで読みました。
最後に名越先生の、武田先生の印象について触れておきます。
名越 やっぱり武田先生の話を聞いていて、こういう人がカウンセラーなんだなって思います。
※「これって本当に「繊細さん」?と思ったら読む本」(日東書院本社)P.209から抜粋
やっぱそう思います!?
私もそう思いますわ。武田先生と初めてお会いした時、4年経った今でも鮮明に覚えているんですよね。
「あ、カウンセラーでこの人には絶対に勝てないわ」って思っちゃいましたもん。
交流会にご参加された方には必ずお勧めしています。是非ともお手にとってみて下さい。